「ランニングをしている最中になんだか足首が痛いな…」
なんて経験したことはありませんか?
足首は、微細な筋肉や腱、靭帯などから構成されていて、自分の体重を支えたり、スムーズな歩行や走行を担ったりする重要な役割を担っている部位になります。
同時に、足首は自分の体重や走る際の負荷がかかりやすい部位でもあるので、膝に並んで、ランニングで故障しやすい部位でもあります。
では、なぜ、走ると足首が痛くなるのでしょう?
ここでは、ランニングによる足首の痛みの種類と症状、その原因と対策を解説していきたいと思います。
足首の痛みの症状と発症原因
アキレス腱炎
『アキレス腱炎』は、読んで字の如く、アキレス腱の炎症や損傷のことを指します。
アキレス腱は人体の中で最も大きく強固な腱で、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨を結ぶ重要な組織なので、歩行や走行時に足を動かすために重要な働きを担う部位になります。
また、アキレス腱は筋肉内や踵骨から血液を供給されていて、踵骨から2cm~6cm上部には血液供給量が少なく、その場所は損傷しやすいと言われています。
そして、細かく分けると、アキレス腱自体に炎症が生じる「アキレス腱炎」と、アキレス腱の周辺に炎症が生じる「アキレス腱周辺炎」、アキレス腱の下方に炎症が生じる「アキレス腱滑液包炎」の3つに分類することができます。
アキレス腱炎が発症する主な要因
・足の異常:
足の形や歩行パターンに異常がある場合、アキレス腱に不必要な負荷がかかってしまい、炎症が生じることがあります。
・局所への過度なストレス:
急激な運動量の増加や長時間の走行、跳躍など、アキレス腱に過度の負荷がかかることで、炎症が生じることがあります。
・筋肉の問題:
腓腹筋やヒラメ筋など、ふくらはぎの筋肉の硬さや不均衡がアキレス腱に負担をかけて、炎症を引き起こすことがあります。
アキレス腱炎の主な症状
・アキレス腱やふくらはぎの後ろ側に痛みや圧迫感が生じる
・ランニングを始めると痛みが増すことがある
・ランニング後や長時間の運動後に痛みが増すことがある
・アキレス腱に腫れや硬さが見られる
距骨骨軟骨障害
足首が痛い人の中には、外くるぶしと内くるぶしの骨が衝突して起こる、軟骨の損傷による痛みが発生している人もいます。
こういった、足首の関節である距骨の軟骨に損傷が生じている症状を『距骨骨軟骨損傷』と言います。
足首は、脛骨と距骨の間で形成される関節で、距骨は足首の動きをサポートしたり体重を支えたりする役割があります。
そして、この距骨の軟骨が損傷してしまうと、足首の運動が制限されたり、痛みが生じたりすることがあります。
距骨骨軟骨障害が発症する主な要因
・外傷:
足首をひねったり(捻挫)、過度に負荷をかけたりすることによって、距骨の軟骨に損傷が生じることがあります。
スポーツでの急激な動きや着地、転倒などが原因で発症することがあります。
・慢性的な負荷:
長期間にわたって反復的な負荷がかかり続けることで、距骨の軟骨が摩耗しやすくなり、損傷が生じることがあります。
例えば、ランニングなど同じ動きを長時間繰り返すことで炎症を引き起こすリスクが高まります。
距骨骨軟骨障害の主な症状
・足首の内側や後ろ側に痛みが生じる。
・軟骨の損傷に伴って、足首に腫れが生じる。
・足首を動かす際や負荷をかける際に痛みや不快感が生じる。
・足首の可動域が制限(ブロッキング)される。
足首の痛みが発症しやすい走り方と対処法
足首を痛めてしまう人の多くは、足部のアライメント不良が原因であることが多いです。
アライメント不良というのは、筋肉や関節が最適なポジションに置かれていない状態のことを言います。
足部のアライメント不良というのは、足部の姿勢が悪いと捉えていただくとイメージしやすいかと思います。
では、具体的に足部にアライメント不良が起きている人は、どんな走り方をしているのか?
ここでは、その代表的な特徴をご紹介してみたいと思います。
オーバープロネーションとサピネーション
特にランナーさんに注意して欲しいアライメント不良は、オーバープロネーションとサピネーションです。
オーバープロネーションというのは、過剰回内と言って、足裏が地面に接地した際に過度に足底の内側に荷重している状態のことを言います。
逆に、過剰回外と言って、過度に足底の外側に荷重している状態をサピネーションと言います。
どちらの状態も、ランニングで足を着地させた際に、靭帯や関節、軟組織に過剰なストレスがかかってしまうので、足首に痛みや炎症を引き起こす大きな要因となってしまいます。
オーバープロネーションは腸脛靭帯炎、サピネーションは鵞足炎、また、どちらも足底筋膜炎やシンスプリントなどのランニング障害を発症させる引き金にもなってしまうので、走る際は足部のアライメントを整えることがとても大事になってきます。
足裏を意識できていない
例えば、つま先や拇指球のみで地面を踏み込んでしまうと、着地時に股関節が内旋(内側に捻れる)してしまって、着地と同時に膝が内側に曲がってしまいます。
そうすると、真っ直ぐ走っているつもりでも、脚全体が内側に回り込むように可動してしまうので、それを修正するために無駄に筋力を使う羽目になってしまい、これが癖づいてしまうとオーバープロネーションになってしまって、足首を痛めるリスクが高まってしまいます。
これは、ランニングで足首を痛めてしまう人のよくある例です。
オーバープロネーションやサピネーションというのは、長年にわたって身体に染みついてしまった悪い癖の一種でもあるので、なかなか簡単に修正できるものでもありません。
そこで、オーバープロネーションやサピネーションなどの足部のアライメント不良を改善させるコツとして、『足裏を上手に使う』というのがあります。
足裏には、拇指球と小指球を結ぶ横方向のアーチと、拇指球から踵(脛骨直下)、小指球から踵(脛骨直下)にそれぞれ縦に向かう計3本のアーチがあります。
ランニング時の着地時や地面を蹴り出す際に、この3本のアーチを均等に使って上げると、運動効率の向上や身体にかかる負荷の軽減、オーバープロネーションやサピネーションなどの足部のアライメント不良の改善を促してくれます。
拇指球、小指球、踵(脛骨直下)を線で結ぶと、アーチに沿ったトライアングルが形成されます。
足を地面に着地させる時や、地面を蹴り出す際は、この足裏のトライアングル全体をバランスよく使ってあげることで、足裏全体に均等に荷重されるので、オーバープロネーションやサピーネーションの改善、足関節やアキレス腱など足部にかかるストレスを軽減させることができるようになり、足首の故障リスクを大幅に軽減することができます。